N-VANのEV車、2024年春に発売予定
2022年12月に自動車メーカーのホンダから、N-VANの電気自動車「N-VAN e:(エヌバンイー)」の発表があった。
国内では、スライドドア型の電気自動車の発売に大いに期待された。
そもそも電気自動車は大型の燃料電池を床下に格納・設置するため、スライドドア型の車種には不向きとされていた。
しかし育児世帯としては、スライドドア型の乗用車は心強い味方。
そのため、スライドドア型の電気自動車の早期実現を願っていたところだ。
発表された驚きの価格
N-VANは、人気車種の「N-BOX」をベースにした軽商用車。
貨物運搬用の制約がある車だが、個人でもディーラーで購入可能だ。
しかし商用向けということで、今回のN-VAN e:も地味めなカラーしかラインナップされていない。
子育て世帯に便利な車には間違いないが、「おしゃれさ」までは満たせないかもしれない。
それでもこのN-VAN e:の注目ぶりに比例して、売り上げもしっかり上がれば次の展開が見えてくる。
ベース車のN-BOXや、Nシリーズの「N-WGN」にも展開が予想されるからだ。
ホンダ内では、このN-VANでノウハウを蓄積しNシリーズに展開する筋書きがあるのではないか。
そして驚くべきは、その価格帯!
本体価格が100万円台になるというのだ。
2022年からヒットした日産のサクラでも、補助金の55万円ありで実質100万円台になるのだから、ホンダの発表には驚かずにはいられない。
ただ、現在の物価高が続く国際情勢や資源価格の高騰も含めると、どこまで実現できるか疑わしい。
そこでこの記事では、実際購入したサクラと比較しつつ「N-VAN e:」の価格について大胆予想する。
EV車を愛用中!わが家のプロフィール
わが家の子どもは、6歳娘と3歳息子のきょうだい。
やや狭めながらも、家族4人で日産のEV軽自動車の「サクラ」を愛用中。
もう1台は遠出用の「フリード」を所有しているが、近場のお出かけはEVのサクラばかり利用。
著者の私は、田舎の県で地方公務員として約15年間勤務する。
勤務10年目で第二子誕生の際、当時の男性では珍しい1年間の育休を取得。
育児をこなしながらも今後の人生を真剣に考え、公務員を退職して独立。
引き継いだ農地で小規模農業を行いつつ、ブロガーとして歩み始める。
・くわしくは、内部リンクのプロフィールへ
N-VANの価格予想
まずみなさんが知りたいのは、N-VAN e:の価格だろう。
2022年12月の先行発表によると、「100万円台で3グレードを展開する」とのこと。
いくらなんでも、補助金なしでその価格にできるの?と信じられなかった。
この発表を信じると、160万円から199万円までのグレード展開となる予定。
これは「本体価格」のことなので、予定補助金の55万円は含めない金額のはず。
正式に補助金が支給されれば、ガソリンエンジンのN-VANよりも安くなるのではないか。
だが2022年からの人件費や物価高を受けて、総コストが上昇する可能性は大いにある。
私の予想では、最も安価なグレードだけでも190万円でなんとか100万円台に乗せる。
それ以上のグレードは200万円を超えて、220万円にはなるのではないか。
その根拠
この記事のN-VAN e:の価格予想は、実際に購入した日産のサクラから推測したものだ。
サクラは、デイズから電気自動車用に転換したもの。
これを最も比較しやすい安価グレードのSで考える。
デイズのSグレードは144万円(税込)、サクラのXグレードは255万円。
単純化して考えると、ガソリンエンジン→EVエンジンに換え、燃料電池を搭載して100万円以上の増額。
サクラの発売は2022年だが、当時は電気自動車にするとそれだけのコストがかかるのだ。
三菱のekクロスEVではどうか
日産サクラと共同で発売された三菱のekクロスEVのGグレードは、255万円。
その基となるエンジン車のekクロスは、166万円。
三菱でも電気自動車にすることで、90万円近くのコストアップになるのだ。
N-VAN e: ではどうか
まずホンダのN-VANの最も安価なGグレードは、134万円(税込)。
これを電気自動車にする際に90万円アップとしても、224万円。
燃料電池の技術革新やホンダの独自技術によって、どこまでコストを抑えられるかがポイントだ。
燃料電池を安く確保できるアテがあるのかもしれない。
これらのことから、N-VAN e:の最も安価なグレードだけでも、なんとか190万円に乗せてくるが、それ以上のグレードでは230万円くらいになるのではないか。
たとえラインナップの1部が200万円台に乗っかっても、この世界情勢を踏まえれば、一般消費者も「しょうがないよね」と思ってくれるのではないか。
とっても気になる補助金
現行では軽の電気自動車の購入補助金は、55万円。
2022年度は補助金の当初予算額を使い果たし、補正予算で施行されたほどだ。
そのため今後の減額はあっても、増額はまず無いだろう。
2024年度も55万円の予想だが、電気自動車がこれからますます普及すればどんどん縮小していくだろう。
補助金の振り込み時期に注意
サクラを購入してから、補助金が振り込まれたのはなんと10か月後!
(サクラは購入から半年後にご対面)
購入→申請→審査という段階を踏み、その申請数も膨大なので振り込みまで多大な時間がかかるのだ。
購入時に「すぐ支給される♪」という腹積もりでいると、痛い目を見るので家計管理にご注意を。
トヨタの動向に目が離せない
電気自動車の補助金は当面は続くだろうが、怖いのは王者・トヨタの動向。
トヨタは2030年をメドに、水素自動車の市場投入を予定している。
「水素自動車vs電気自動車」の覇権争いが始まるのだ。
トヨタは莫大な従業員の雇用を守るため、部品数の多い水素自動車で勝負せざるをえない。
そしてその権力で、政府はじめ関係省庁にロビー活動を行なうことだろう。
場合によっては、電気自動車用の補助金が、水素自動車用に換わってしまう可能性もあるだろう。
水素自動車には、エネルギー供給元の「水素ステーション」の設置数の課題もある。
人口減少していくなかで、ガソリンスタンドのような大規模インフラを各地に建設できるだろうか。
それを王者・トヨタがどう攻略していくか、今後の動向に目が離せない。
なぜ電気自動車に期待するのか
なぜ私はここまで、電気自動車に期待するのか。
それは家庭で、カンタンに充電できるから。
充電感覚や頻度は、屋外でスマホに充電するようなものだ。
街乗りでも4,5日に1回は充電が必要なので手間がかかるが、ガソリンスタンドに出向く手間を考えるとトントンだ。
何よりガソリンスタンドは人口減少&過疎化に伴い、減少の一途。
国民生活の肌感覚でも十分に分かるはずだ。
2017年度末に国内30,747か所あったガソリンスタンドは毎年減少を続け、2021年度末には28,475か所になっている。
参考:資源エネルギー庁の公表資料 『 揮発油販売業者数及び給油所数の推移 』
あなたの知っているガソリンスタンドも、閉鎖したところがあるだろう。
最寄りのガソリンスタンドは、いつまで存続しているだろうか。
電気自動車のよくある誤解
よくある誤解だが、電気自動車は太陽光発電がなくても充電して運用できる。
200Vのコンセントがあれば充電は可能、EVはいわば電化製品なのだ。
200Vコンセントは、工事業者に依頼し数万円で工事可能だろう。
なおN-VAN e:については、6.0kwの出力まで充電可能なので対応した設備を検討する必要はある。
これは大事なところだが、電気自動車は太陽光発電や蓄電池とは関係なく運用できるのだ。
「効率よく運用」という観点で、太陽光発電で日中発電した電気を蓄電池に蓄電し、それをEV車に充電という方法がクローズアップされている。
そして「V2H」という仕組みがあれば、電気自動車から電気を取り出せて非常時に役立つ。
しかしこれは軽自動車の電池容量では、V2Hの高価格に釣り合わない。
なぜN-VAN:eに期待するのか
これは「N-VAN」の機能によるところが大きい。
まずは、子育て世帯に嬉しいスライドドア!
これならば子どもが、勢いよくドアを開閉し隣の車にドアパンチする心配はない。
雨の日の乗車時にも親が一緒に乗り込めて、車内でチャイルドシートなどを操作できる。
サクラより進化した航続距離と充電時間
N-VAN:eの航続距離は、WLTCモードで210㎞以上を目標としているとのこと。
サクラは同モードのカタログ値で180㎞。
2割ほど航続距離が伸びると、遠出の幅も広がる。
N-VAN e:の充電については、より短時間で充電が可能な6.0kW出力の普通充電器に対応。
充電時間は約5時間でOK。
これで夜間電力の11時から翌朝の午前4時までにフル充電できる。
サクラのフル充電は、2.9kwの普通充電器で約8時間。
何とか翌朝7時までには終わる。
しかし、夏や冬では朝5時から冷房・暖房を使いたいところ。
EVへの充電、クーラーに加え電子レンジや電気ケトルを使うと、家のブレーカーが落ちる可能性があるので、契約容量の変更まで考える必要がある。
そのため、朝の4時にEV充電が終わっていることは大きな魅力だ。
これで活用の幅も広がる。
ハイトワゴンの特技
そしてもうひとつの大きなポイントは、子どもが中高生になった際の自転車との相性。
中高生になると、たいていは自転車通学。
そこで困るのは、雨の日。
自転車だけ置いておき、子どもを車で送り迎えすることはできる。
しかし、子どもの大事な自転車を置きっぱなしにするのは心もとない。
しかし、ハイトワゴンのN-VANならば、積み込みもラクラク。
これで大事な自転車を置き去りにせずに済む。
実はココに落とし穴
N-VAN e:が発売になり、実車を確認しに行った。
しかし、子育て世代に大きな落とし穴があった。
なんと、後部座席にチャイルドシートが付けにくいということ。
あの簡単に取り付けられる「ISOFIX(アイソフィックス)」がないのだ。
ISOFIXがなくても、取り付けられるチャイルドシートはあるが、このご時世では非現実的な選択だ。
脱着の手間を考えると、ISOFIXは必須だろう。
ここが、N-VANは商用車仕様といったところ。
子育て用の軽ファミリーカーではないのだ。
まとめ N-VANのEV車に期待大
電気自動車やN-VANの魅力をとうとうと語ってきたが、N-VAN e:の魅力はやはり革新的な価格帯。
100万円台で電気自動車を作るという、これぞホンダ!の心意気。
トヨタの水素自動車ビジョンの前に電気自動車の未来が心配だったが、これでますます分からなくなってきた。
いったいどのメーカーが、ゲームチェンジャーとなるのか。
EVユーザーとしては、ホンダには日産や三菱と共に、電気自動車市場を拡大していってほしいものだ。
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