ずるい?大学授業料が無償化へ
政府は、2025年度から多子世帯を対象に、大学授業料などを無償化する方針を固めた。
大学のほかに、短期大学や高等専門学校などの学生も対象とする構想だ。
多子世帯とは、3人以上の子どもがいる世帯のこと。
残念ながら子どもが2人では、「多子」という扱いではないようだ。
これは、3人目以降の出生を促す政策だからだろう。
世帯の所得制限は設けられないので、どんなお金持ち家庭でも無償化される。
この政策は「異次元の少子化対策」のひとつとして「こども未来戦略」に盛り込まれる。
「東京都が高校無償化の所得制限を撤廃する」というニュースが一足早く先行したので、慌てて政府も発表したものと読み取れる。
子どもが2人しかいない世帯(ウチも)や子どものいない世帯からは、「ずるい!」という声が上がっている。
しかし、本当にずるいのはいったい誰なのか?
この記事は、「大学無償化の恩恵を受ける人たちはずるい!」と怒り心頭の方向けに投稿した。
制度をしっかり分析するので、本当に「ずるい」のは誰なのかお分かりいただけるだろう。
また、今回の大学無償化のセコイからくりについても解説するので、最後まで読んで欲しい。
『こども未来戦略』の一角
このニュースを聞く限り、「ありがたいことだ」と思う。
子どもの未来が多少でも明るくなるようであれば、歓迎だ。
国内の家庭では、子どもの数が2人以下が多い。
だから、恩恵には与れない家庭が多い。
それでも「不動の国」が重い腰を上げ始めたということでは評価できる。
子どもが2人以下の家庭が「ずるい」と思いたくなる気持ちは、痛いほど分かる。
ただこの政策については、効果はともかく3人目以降の出生を促す狙いだから、そこは致し方ない。
政府の政策音痴については、次の選挙で評価を下すしかない。
しかし、この「3人いたら大学無償化」も、文言通りではないようだ。
各報道によると、「3人きょうだいの第1子が扶養をはずれたら適用外」などと、ケチケチぶりが露呈。
しかし、ここで本当にずるいのは、政府や中央官僚!
今回の大学無償化は、政権の支持率を上げるために大風呂敷を広げた制度。
このような時には、必ず予算面からの圧力がかかっているのだ。
特に財務省などによって、中身がスッカスカの「骨抜き制度」にされないか注意が必要だ。
表向きの文言だけで踊らされ、「あなたの家庭は、対象ではありません、テヘッ」ということも起こりかねない。
対応した役人は国の中枢に気に入られ出世するが、残されるのは骨抜きされた「こども施策」。
分かりやすい例では「児童手当の第3子以降の支給額」、国民をヌカ喜びさせる設計だ。
・以下の内部リンクにて、解説中 ↓
『 【知らないと損!】子ども家庭庁のホームページでは分からない児童手当の落とし穴 』
支持率上昇のために大盤振る舞いの政策には、必ずそのウラを調べなくてはいけない。
今後の家計を左右する政策ならば、保護者としてさおさら必要だ。
今回の記事では、今回の政策方針からどのような「ずるい落とし穴」が想定されるか推測してみたい。
今回の恩恵に与れないわが家&私のこと(プロフィール)
田舎の県で地方公務員として、約15年間勤務する。
地方自治体ながら予算編成の最前線にて、こき使われた。
勤務10年目で第二子誕生の際、当時の男性では珍しい1年間の育休を取得。
育児をこなしながらも今後の人生を真剣に考え、公務員を退職して独立。
引き継いだ農地で小規模農業を行いつつ、ブロガーとして歩み始める。
自身は3人目として出生したが、このような「無償化」は全くない時代だった。
・もっと細かく知りたい方 → 私のプロフィールへ(内部リンク)
・こんな記事も書いてます。わが子にズルをさせないために!(内部リンク)
『 【懲戒処分がラージ級!】コンビニコーヒー注ぎすぎ校長にみる「誰もが誘惑されてしまう心理」と予防策 』
「ずるい!」のは、子ども3人以上の世帯ではない
今回のやり玉やとばっちりを受けているのは、子どもを3人以上抱える「多子世帯」。
たしかに子どもが大学に入学したら、100万円以上の恩恵を受けるかもしれない。
しかし3人の子どもの教育費などは、そんな大学料だけでトントンになるわけではない。
第3子出生からもたくさんの出費をし、計り知れない苦労を重ねているだろう。
だから、今回の多子世帯を「ずるい」と責めるのは、実は的外れだ。
1年早くて支給されない家庭については、お気の毒な限り。
ただこれはタイミングの問題、「時の運」とも言える。
重い腰が上がらなかった歴代政権を恨むしかない。
恩恵のタイミングは、時の運
わが家は2020年の「全国民に10万円給付」施策で、悔しい思いをしている。
長男が1か月生まれるのが遅くて、支給されなかったのだ。
奇特な地方自治体では、その年に産まれた子全てに独自財源で10万円を支給するところがあった。
これも地域住民にとっては運かもしれないし、そのような地方議員を選び抜いた結果かもしれない。
大学無償化のウラ事情
大学に通うためには、とうぜん学費がかかる。
国立大学の年間の標準学費は、約54万円。
4年間だと、ゆうに200万円を超える。
また、遠方の大学だと下宿費用も必要になるので、親としてはとんでもない出費だ。
そこで、家計の苦しい世帯には、子どもに対して「奨学金」が支給されることがある。
しかし、これは奨学金とは名ばかりで、利率の面から見て「学生ローン」と呼ぶ方がふさわしいものが大半だ。
このローンによって卒業後、数百万円もの返済金を背負って社会人になる方がたくさん存在する。
この悲惨な状況が世間でクローズアップされて、大学無償化の流れに繋がったのだろう。
そもそも新社会人に数百万円もの借金を背負わせる国など、いかがなものか?
これでは優秀な人材が経済的に恵まれていないというだけで、飛躍の機会を奪われることになる。
国家としても、衰退する一方だろう。
大学無償化に関する現状支援策
現在の国内では、年収380万円未満の世帯を対象に、授業料を減免したり給付型奨学金を支給したりする制度がある。
これに関して、政府は2024年度から年収600万円までの中間層の多子世帯に対象を拡大する予定だ。
さらに、国内のインフレ、裏金疑惑による内閣不信のあおりを受けてか、教育費の負担軽減に向け支援をさらに強化することになったのだろう。
大学無償化の狙い
出生率を上げたいのであれば、どこかの市町村みたいに「第3子以降の出産で〇万円」とすれば成功しやすいだろう。
ただこれには、当然莫大な予算が必要となる。
今回の狙いは「高度人材の育成」もあるからこそ、「3人以上いれば大学無償化」にしたのだろう。
確かに大学を卒業すると、生涯賃金が大きく上がるといわれている。
そのような大卒者が増えれば、国内のGDPなどを押し上げることだろう。
「なるべく低予算で聞こえの良い政策」を考えた結果なのだろう。
今頃、厚生労働省か文部科学省では予算総額の算定に大忙しだろう。
ごくろーさまです。
聞こえの良い制度には、ずるい落とし穴や骨抜きアリ
今回のキモは、「子どもが3人以上いれば、大学授業料を無償とする」というもの。
さまざまなマスコミで衝撃的に報道されているが、未確定な部分も多い。
大手新聞によると、「扶養状態の子どもが3人以上いれば、第1子から大学授業料が無料になる」ことは確定しているようだ。
見切り発車の発表で制度が詰め切れていないのか、予算規模が固まってから削り落とすためなのか、想定も固まり切っていない。
先でも紹介したように、このような聞こえの良い制度は、全体の予算を抑えるためにどこかに帳尻合わせがあったり、骨抜きにされたりする。
「児童手当」の「第3子」が上の子の年齢によって、「第2子」に繰り上がったりするカラクリだ。
中央官僚は政治家に良い顔をしつつ、自らが出世するためにこのような企みを巧妙にしかけてくる。
今回の大学無償化で想定しうること
単なる杞憂であればよいが、政府が予算削減のために断行する企みを予想する。
私の拙いこの予想が国内に広く素早く出回れば、政府もこの通りにできなくなるのだが。
優秀な野党や小うるさいマスコミは今こそ出番のはずだが、いかがお過ごしだろうか。
自民党内のチェック機能には全く期待できないので、外部の正常なはずのチェック機能に期待したい。
想定①「第3子」の取り扱いー上の子の進学
あなたは、「第3子以降の大学無償化」という言葉で何を思い浮かぶか?
一般人の感覚ならば、第1子、第2子が高校卒業後に大学に行かずに就職していても、第3子が大学授業料が無償化される、と考える。
しかし、政府側は「第1子・第2子が大学・短大・専門学校に進学していることが条件」という理屈を通しそうだ。
つまり子どもが3人いても、上の子が高校卒業して就職したら、その時点でおしまいになりそうだ。
想定②「第3子」の取り扱いー上の子の卒業
2つ目の想定は、児童手当のからくりと同様に「在学中の子どもの3人目以降を無償」という論理。
つまり上の子が、大学卒業して扶養から外れると、第3子が第2子に繰り上がり無償化対象でなくなるという理屈。
これだと、3人きょうだいが年子でも2年間の恩恵にしか与れない。
ここまでケチった政策でも、理屈が通れば平然と行なう国なのだ。
想定③項目で排除ー「大学無償化」の定義
大学無償化の対象は、おそらく「大学授業料」だろう。
ただこの授業料も国立の文系と理系、国立と私立だけでも異なる。
そこで国立文系の授業料を原則として、その差額分をどこまで支給するかが骨抜きポイントだ。
私立大学の理系の授業料全額を無償化していたら、制度はもたないだろう。
これからは決まっている予算枠に対して、とりあえず算定した全体経費をどう削っていくかの段階。
国立文系の授業料+αがどれだけ認定されるかも、ずるい政府の腕のみせどころだ。
今回の大学無償化の財源の一部は、社会保険料の上乗せ分から
政府は、「異次元の少子化対策」を実行するための必要財源3兆6000億円の財源のうち、1兆円を担う「こども・子育て支援金」の制度を創設すると公表。
財源の3兆6000億円の内訳として、予算の活用で1兆5000億円、医療や介護などの歳出改革で1兆1000億円、さらに「こども・子育て支援金」から1兆円を充てる。
この支援金は2026年度から、医療保険料に「上乗せ」する形で、高齢者を含む全ての世代の人と企業などから集められ、1人あたり平均500円ほどといわれている。
増税をかわすため?
なぜ、こども・子育て支援金を医療保険料に上乗せする形で集めるのか?
まずはこの国内の現状で「増税」が出回ると、支持率が大きく下落するからだろう。
国内から広く集めることは良いのだが、本来ならば「増税」扱いで対応するところではないか。
「上乗せメガネ」というあだ名なら、首相も看過できるのだろう。
こういうところにも、「ずるい」政府を感じる。
まとめ 大学無償化で「ずるい」ことをしそうな政府
今回検討に入った大学無償化がまっとうに実現すれば、嬉しいところ。
すでに大学を卒業してしまったり在学中の家庭からすれば、まさに「ずるい」というものだ。
それは今までの政府が無関心だったがゆえ、そんな国会議員を選んだのは国民自身でもある。
この財源不足の日本では、「無償化」という予算の単純増額はめったにない。
「何かが増えた分、何かが減らされている」という感覚で、政府発表を疑ってみるべきだ。
そのうえで子どもの控除が減らされるなど、自らの生活がどう変わるかのチェックが必要。
今回の記事は、あくまでも経験者としての私の想定。
しかし、我が国が誇る超優秀な中央官僚や官邸スタッフは、さらに超越したアイデアを出してくるだろう。
さらに族議員やマスコミを丸め込むことで、私たちに真相が届く頃には制度がとっくに始まっている。
ずるい政策を見極め「NO」と言える政治家を、われわれが選出できれば良いのだがそれも不可能な話。
マスメディアから流れてくる情報は、ほとんど聞こえの良いことである。
これを読まれた方は、保護者として主体的に情報を収集・見極め、自身の子にもその姿勢を伝えてほしい。
「3人いたら大学無償化」では、動けない
わが家の子どもはふたりで6歳と3歳、今回の恩恵にはどう転んでも与れない。
ではこれによって、3人目が欲しいとなるだろうか?
わが家の答えは、「NO」だった。
「3人目の出産で数百万円の支給」があれば、「もうひとり」と考えたかもしれない。
「学費が助かる」といっても、今から3人目を出産する家庭では10年以上先のおはなし。
そもそもこの先行き不透明な国内で、未来の高等教育以降の制度がどんな形になっているのか大きな不安だ。
円安の影響を受けて海外に出稼ぎに行く若者が増えていることもあり、国内大学の魅力はますます減少していくだろう。
今回の政策は、はたして「出生率上昇」に結びつくのだろうか?
大学無償化の前にやって欲しいこと
大学無償化の恩恵は、子どもが誕生してから約18年後の未来。
大学進学するかどうかも分からない状況で、何とも気の遠くなる話だ。
子どもの大学進学のお世話よりも、政府には取り組んで欲しいことがある。
それは、公立学校の「給食費の無償化」。
市町村単位では進められているが、全国にまでは至っていない。
学校側の集金や督促の手間を考えると、税金を投入する価値は十分に見込めるだろう。
小学校入学は、子どもが誕生してから約6年。
親からしても「近い未来」として、現実的な恩恵である。
大学無償化よりも、全ての子育て家庭に恩恵が行き渡るはずだ。
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